第4話「出社信仰を討て! 〜ハンコとタイムカードの城を攻め落とせ〜」

天下布武のDX戦略

冒頭:これは出社ではない、儀式である

――織田信長、再び令和に甦る。
DX戦略責任者として任じられたワシが朝、見たものは――

通勤ラッシュに揉まれ、会社に辿り着き、誰もいない会議室で押されるひとつのハンコ。

これはまさに**「出社」という宗教の朝拝**ではないか。
部下に問うた。「なぜ、これを続けておるのだ?」

すると返ってきたのはこうじゃ:

  • 「出社しないと働いた気がしなくて…」
  • 「ハンコを押さないと不安で…」
  • 「顔を見せないと、サボってると思われるので…」

……これは信仰だ。
合理ではなく、“なんとなく”の出社教である。

第壱章:出社教の教義とは

出社信仰には、以下のような“掟”がある。

  1. 9:00に座っていることが正義
  2. 誰より早く来た者が「えらい」
  3. ハンコを押した書類だけが“仕事した感”
  4. 在宅勤務は“特例”であり、“例外”であり、“甘え”
  5. 画面越しより、上司のご機嫌が最優先

これらはまさに、“城”の中にこもっていた時代の価値観
出社のための出社、対面のための対面。
それが何を生んでおる?――疲労と形骸化よ。

第弐章:信長流・出社信仰平定策

一、ハンコ廃止令、発布す

  • 電子印鑑の導入 → 全社員にアカウント配布
  • 「紙じゃないと不安」と申す者には、“朱肉納め”の刑

二、タイムカード城、落城す

  • タイムカード廃止 → 勤怠はクラウドで打刻
  • 位置情報つきのモバイル打刻で不正防止も万全
  • 「会社の端末でしか打刻できない」文化は、出社教の総本山なり

三、“出社しなくても回る”仕組みを作る

  • SlackやZoom、Notionで全業務を可視化
  • 朝礼もデジタル → 「声を聞く」より「動きを見る」へ
  • 評価も「姿勢」から「成果」へ

ワシはこう申した:

「ワシが欲しいのは“顔”ではない。“仕事”じゃ」

第参章:出社に、意味を取り戻せ

改革から2ヶ月――

  • 出社率、50%→15%
  • タイムカード→全廃。給与計算ミスも激減
  • 朝の満員電車に乗らないだけで、生産性が3割上がったという声も

そして、出社する人はこう言った:

「今は、出社に“意味”を持って来ています。
顔を合わせる必要がある時だけ来るようになりました」

それを聞いて、ワシは笑った。

“選ばれる出社”こそ、次の時代の“城”なり。

あとがき:信仰は壊せぬ。だが、上書きはできる

出社文化を“悪”とするつもりはない。
だが、目的を失った習慣は、ただの“お祓い”である。

  • ハンコを押すためだけに来るなら、それは“出社ごっこ”
  • 会議室に座ってるだけなら、それは“儀式”
  • 誰かが見てるから頑張るなら、それは“舞台”

ワシは言おう。

「本当に働いている者は、場所ではなく“成果”で語る」
「出社に頼らずとも、信頼される者こそ、真の武将」

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