冒頭:これは出社ではない、儀式である
――織田信長、再び令和に甦る。
DX戦略責任者として任じられたワシが朝、見たものは――
通勤ラッシュに揉まれ、会社に辿り着き、誰もいない会議室で押されるひとつのハンコ。
これはまさに**「出社」という宗教の朝拝**ではないか。
部下に問うた。「なぜ、これを続けておるのだ?」
すると返ってきたのはこうじゃ:
- 「出社しないと働いた気がしなくて…」
- 「ハンコを押さないと不安で…」
- 「顔を見せないと、サボってると思われるので…」
……これは信仰だ。
合理ではなく、“なんとなく”の出社教である。
第壱章:出社教の教義とは
出社信仰には、以下のような“掟”がある。
- 9:00に座っていることが正義
- 誰より早く来た者が「えらい」
- ハンコを押した書類だけが“仕事した感”
- 在宅勤務は“特例”であり、“例外”であり、“甘え”
- 画面越しより、上司のご機嫌が最優先
これらはまさに、“城”の中にこもっていた時代の価値観。
出社のための出社、対面のための対面。
それが何を生んでおる?――疲労と形骸化よ。
第弐章:信長流・出社信仰平定策
一、ハンコ廃止令、発布す
- 電子印鑑の導入 → 全社員にアカウント配布
- 「紙じゃないと不安」と申す者には、“朱肉納め”の刑
二、タイムカード城、落城す
- タイムカード廃止 → 勤怠はクラウドで打刻
- 位置情報つきのモバイル打刻で不正防止も万全
- 「会社の端末でしか打刻できない」文化は、出社教の総本山なり
三、“出社しなくても回る”仕組みを作る
- SlackやZoom、Notionで全業務を可視化
- 朝礼もデジタル → 「声を聞く」より「動きを見る」へ
- 評価も「姿勢」から「成果」へ
ワシはこう申した:
「ワシが欲しいのは“顔”ではない。“仕事”じゃ」
第参章:出社に、意味を取り戻せ
改革から2ヶ月――
- 出社率、50%→15%
- タイムカード→全廃。給与計算ミスも激減
- 朝の満員電車に乗らないだけで、生産性が3割上がったという声も
そして、出社する人はこう言った:
「今は、出社に“意味”を持って来ています。
顔を合わせる必要がある時だけ来るようになりました」
それを聞いて、ワシは笑った。
“選ばれる出社”こそ、次の時代の“城”なり。
あとがき:信仰は壊せぬ。だが、上書きはできる
出社文化を“悪”とするつもりはない。
だが、目的を失った習慣は、ただの“お祓い”である。
- ハンコを押すためだけに来るなら、それは“出社ごっこ”
- 会議室に座ってるだけなら、それは“儀式”
- 誰かが見てるから頑張るなら、それは“舞台”
ワシは言おう。
「本当に働いている者は、場所ではなく“成果”で語る」
「出社に頼らずとも、信頼される者こそ、真の武将」