冒頭:美しさの裏に、何がある?
――織田信長、令和の企業に甦る。
ある日、部下が申した。
「今回の提案、パワポにまとめました!」
開いてみれば、美しいデザイン。
アニメーション。配色も洗練されておる。
だが……中身は?
「To Be Discussed」
「方向性のご相談」
「一旦、全体観だけ共有」
ワシは静かに問うた。
「で、そなたの“意志”はどこにあるのじゃ?」
第壱章:美しさに逃げる“PowerPoint信仰”
ワシが現代の戦場で目にしたのは、以下のような姿じゃ。
- スライドを作ること自体が“仕事”になっている
- 図やグラフで“なんとなく分かりやすそう”に見せる
- 肝心の考察や提案が、言葉として現れていない
- “見せ方”にこだわるあまり、思考が浅くなる
これはまさに**“化粧だけで出陣する武将”**よ。
鎧が光っておっても、中身が空なら戦には勝てぬ。
第弐章:信長流・資料改革の令
ワシが掲げたのは、「形より“意志”」の旗印。
一、スライド作成の“起点”を変えよ
- 最初に書くのは「この提案で何を決めたいか」
- “伝えたいこと”を言語化してから、構成や図に落とし込む
- スライドは意志を伝える刀であって、飾り扇ではない!
二、図やデザインは“補助兵”に過ぎぬ
- 図やグラフは論点を深めるために使う
- 「なんとなく伝わればいい」図は禁止
- スライド1枚につき、“主語+動詞+結論”を必ず載せよ
三、資料の最終形は「言葉」である
- 本当に通したい提案は、A4で1枚に言語化せよ
- スライドだけで済む話など、ない。話す覚悟が言葉に宿る
第参章:スライドから“意志”が生まれる時
改革の後――
- 会議で「言いたいことが伝わらない」が激減
- 「グラフの横に自分の考えを書こう」という文化が生まれる
- 若手:「考えが浅いとバレるから、最初に思考を固めるようになった」
- 上司:「装飾に逃げていた自分に気づいた…」と膝をつく者も
ワシは語った。
「PowerPointが悪なのではない。
意志なき者が、それに逃げることこそ、企業を滅ぼすのじゃ」
あとがき:資料づくりとは、“武具を整える”こと
スライドとは、戦に出る前の“鎧”
図は弓、グラフは槍、言葉は太刀
だが、大将に戦う意志がなければ、それらはただの鉄屑
信長は言う。
「スライドに逃げるな。
スライドに“戦う覚悟”を刻め」