はじめに:天下布武とFAXの話
――ワシの名は、織田信長。
戦国の世を駆け抜け、天下統一を目前に本能寺で燃え尽きた男じゃ。
…が、どういうわけか、令和の世に転生し、ある企業のDX戦略責任者を任されることになった。
初出社で目にしたもの、それは……FAX機から吐き出されるA4用紙の山!
書類の束、誰が書いたかわからぬ手書きメモ、朱肉のにおい――まるで“紙の関ヶ原”ではないか!
第壱章:なぜFAX文化が討たれぬのか
ワシが問うた。「なぜ、いまだにFAXなのだ?」
すると部下が申す。
「相手がFAXを求めるからでござる…」
「紙で回した方が安心という声が多くて…」
「書類にハンコを押さないと、不安になる人がいて…」
これぞ、まさに恐怖による支配。
だがそれは、支配ではない。思考停止による敗北である。
第弐章:信長流・FAX殲滅作戦
ワシは決めた。FAXは“敵将”であると。
その討伐には、三段の戦術を用いた。
一、味方(社内)を制圧せよ
- 電子契約サービス「クラウドサイン」を即導入
- 全社員に「脱・紙送付」の命を発布(拒否者には“紙納め”の刑)
二、外部(取引先)を懐柔せよ
- メールで「〇〇社様専用アップロードフォーム」を整備
- 「セキュリティ強化のためFAX廃止中」の文言を入れて交渉
- 取引先の“戦国大名”も変わりたがっておるのじゃ。最初に旗を振れば、皆ついてくる。
三、FAX機を“焼き払う”
- 機械は倉庫へ→1ヶ月誰も気づかず(驚愕)
- 「使えないものは存在しないも同じ」戦法、効果てきめん
第参章:その先にある天下
FAX文化を討ち滅ぼした結果――
- ペーパーレス率85%
- 業務の処理スピードが2倍
- 若手社員が目を輝かせ、老将(ベテラン)も苦笑しながら「便利だな」と申した
ワシは笑った。「それ見たことか」と。
紙にしがみつくのは、過去の遺産に縋る敗者の思考よ。
天下布武とは、刀で斬ることではない。情報の統一、文化の刷新こそ、真の覇道なり。
あとがき:令和の“合戦”は、コピー室で始まる
現代の戦場は会議室ではない。
総務部の棚の裏、情報システム部のPCの前、コピー機の隣――そこが最前線じゃ。
ワシが再び言おう。「FAXは滅びよ。DXの世を築くのじゃ!」
では、いざ、はじめよう。