冒頭:転生した先での“見慣れぬ兵法”
――織田信長、令和に甦る。
DX戦略責任者として迎えられたワシが、ある部署のPCを覗いて震えた。
「管理台帳_最新ver.9(1)確定修正最終【修正版】.xlsx」
……何度、同じファイルが生まれておるのじゃ!?
フォルダの中には同じ名前のExcelが6種類……全て「最新」と書いてある。
しかも中身を開けば、VLOOKUP、IF、COUNTIF……
見知らぬ“関数の呪文”が乱れ飛んでおる!
ワシは察した。ここは――Excel戦国時代。
第壱章:Excel五箇条の乱とは
部下に問うた。「この地に何が起きておるのじゃ?」
すると彼らは、こう申した。
- ファイルの所在が不明
- 最新ファイルが誰にもわからぬ
- 関数が壊れていて誰も直せぬ
- 他人の作ったExcelは怖くて触れぬ
- 表がズレていて印刷すると地獄
まさに「Excel五箇条の乱」。
“属人化”と“伝承ミス”による内乱じゃ。
第弐章:信長流・Excel討伐の陣
一、ファイル名統一の令を発す
- すべてのファイル名に「yyyymmdd_用途_担当者」を義務化
- 「ver.いくつ」文化に終止符
- 最終版だけが生き残る天下統一ルール
二、“神Excel”の封印
- 数式が100行以上のシートは禁断の書とみなす
- Googleスプレッドシートに移行し、リアルタイムで編集
- 「俺しか直せない関数」=処刑対象
三、テンプレートの国づくり
- 社内テンプレを整備し、誰でも“表作成”できる文化を築く
- 領地(部署)を超えて同じ型で報告が届くように整備
- 「違う部署は違う様式」という“戦国気質”を平定
第参章:Excelからの解放と新たなる地図
改革ののち、社員の表情が変わった。
- 「もう“ver9_修正版_最終”を探さなくて済むようになりました」
- 「関数じゃなく、意図が読める表になりました」
- 「引き継ぎが楽すぎて泣きました」
ワシは言った。
「道具は刀にあらず。持ち主によって毒にも宝にもなる」
「Excelという鉄砲に溺れ、己を見失った時、組織は滅びる」
“使う者が変われば、ツールも変わる”。これぞ、令和の天下布武。
あとがき:真のDXは、“神Excel”を手放すところから
Excelを否定はせぬ。
だが、Excelが“人”を支配する時代は、もう終わりにせねばならぬ。
- 「その表、見た目きれいだけど、誰も触れない」
- 「1行ずれると全部壊れる」
- 「あの人が退職したら、もう修復できない」
そんな呪われた“神Excel”に、今こそ鉄槌を。
信長が斬る!
「Excelは火縄銃。だが、信じるべきは“人”であって、“関数”ではない」