冒頭:見えぬ城を、どう守る?
ワシ:「む……この“クラウド”なるもの、どこにあるのじゃ?」
部下:「あ、はい。物理的には、データセンターに……」
部下:「でも、イメージとしては“空にある”ようなものでして……」
部下:「だから“クラウド”と呼ばれております!」
ワシ:「ふむ。つまり――“見えぬ城”か。
では、敵が攻めてきたとき、誰がその城を守るのじゃ?」
(ナレーション)
これは戦国で言えば、
**「地図にも載らぬ城に、兵糧も守備兵も送らぬまま放置しておる」**ということ。
信長、令和の“IT戦”に挑む。
第壱章:クラウド信仰という油断
クラウドに預ければ、
管理不要・災害に強い・セキュリティ万全――
そう思っておる企業が多かろう。
じゃが、見よ。
パスワードは使い回し、アクセス制御はザル、SaaSアカウントは放置――
これでは“堀なき城”じゃ。
クラウドとは、「自動で守ってくれる」ものではない。
“新たな戦場”なのじゃ。
攻めの機動力を得る代わりに、防衛は己の責任。
第弐章:オンプレとクラウド、どちらが“堅城”か?
ワシ:「この城(サーバー)、地下一階の会議室横にあるらしいのう」
部下:「はい、エアコンの風が弱くて、夏場に何度か落ちております」
ワシ:「……切腹じゃ」
オンプレは、確かに手元にある安心がある。
だが、維持費・老朽化・BCPには脆弱。
「石垣の上にPCを積んだだけ」では、戦国の波は越えられぬ。
一方でクラウドは、遠隔地・冗長構成・スケーラビリティ――
いわば“忍びの城”。
答えは、どちらか一方ではない。
混成こそが、現代の“築城術”よ。
第参章:SaaS乱立の地獄絵図
部下:「殿、導入済みSaaSを申し上げます」
- Google Workspace
- Microsoft 365
- Salesforce
- Chatwork
- Notion
- Backlog
- Dropbox
- Zoom
- Miro
ワシ:「乱立じゃ! これは“桶狭間”どころか、“四面楚歌”よ!」
それぞれがバラバラに入り込み、
連携もなければ、責任者もおらぬ。
いわば、**“家臣団が勝手に兵を雇い、城を勝手に築いておる”**状態。
ワシ:「このSaaSの地図、誰が描いておる?」
部下:「……おりませぬ」
ならば命じよう。
「SaaS台帳」こそ、現代の“検地”じゃ。
すべて洗い出し、権限を整え、無駄を削げ。
「天下統一」とは、まずは“見える化”から始まる。
あとがき:備えなき者に、クラウドを語る資格なし。
クラウド・SaaS・オンプレ――
道具に過ぎぬ。
問題は、それを“誰がどう使うか”じゃ。
ワシの軍には、“矢を打たぬ弓兵”も、“鎧を着ぬ槍兵”もおらぬ。
なぜなら、全ての兵が“目的のために選ばれた構成”だからよ。
ITとは、“装備”ではない。“布陣”じゃ。
そして布陣とは、
“選んだ後に見直し、守りを整え、責任を持つ者を置く”ことで完成する。
ワシ:「見えぬクラウドを使うなら、
まず己の目と責任で、全てを見渡せ。
でなければ――城が燃えてから、後悔するぞ。」