第6話「チャット文化と戦国の密書 〜“即レス主義”が滅びるとき〜」

天下布武のDX戦略

冒頭:LINEでは、戦はできぬ

――織田信長、令和の企業にてSlackという“伝令箱”に触れる。

ワシ:「このSlack、なぜ未読が843もあるのじゃ…?」

部下:「すみません、返信が遅れまして…」
部下:「通知が埋もれてて…」
部下:「“全員にメンション”されすぎて…」

これは戦国時代で言えば――
“すべての兵に矢文が飛び交い、誰も命令を理解しておらぬ”状態

第壱章:“即レス至上主義”の呪い

現代の企業には、以下のような“チャット圧政”がある。

  1. すぐ返せば偉い、考えるのは二の次
  2. メンション多い人ほど「仕事してる感」
  3. 「あとで返信」が“無視”と同義
  4. 既読=応答義務、未読=反逆者
  5. 会議もなく、結論も出ない“ぬるい議論”が続く

これはまさに**“通知の乱”**。

第弐章:信長流・チャット再編成の令

一、即レス文化、撤廃

  • 「すぐに返す」より「深く考えて返す」ことを称賛
  • 緊急案件は“直電”で限定

二、メンション制限令を発布

  • @channelや@hereの多用は禁止
  • 「全員に知らせたい病」を治療
  • 「3人以上に送るメッセージは、そもそも“会議にせよ”」

三、議論と雑談を分離せよ

  • 議論は「#意思決定」チャンネルに限定
  • 雑談は「#居酒屋」チャンネルへ
  • 「論点なき雑談」が主戦場を汚す

第参章:密書から、意志ある対話へ

改革の結果――

  • チャット件数:4割減
  • 通知のストレス:激減
  • 「議論のあるチャット」が復活
  • 若手:「やっと“本当に必要なこと”だけが流れるようになった」

ワシは語る。

「伝令とは、数ではない。意志を持つ者が、意味を持って届けるものじゃ。」
意志なき者が、それに逃げることこそ、企業を滅ぼすのじゃ」

あとがき:チャットは“声”ではなく“矢文”である

令和の矢文=SlackやTeams。
だが、放ちすぎれば混乱を招き、届かねば無意味。
即レスより、「届く言葉」を考える者が勝つ。

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