冒頭:応対の陣形、整っておるか?
ワシ:「む……この“コールセンター”なる戦場、なぜこれほど騒がしいのじゃ?」
部下:「はい……入電対応に加え、後処理やチャット対応も同時進行でして……」
ワシ:「なんと!? 三方から攻め込まれておるではないか!」
部下:「はい。しかもクレーム率が上昇中でして……」
ワシ:「……敗戦じゃ」
(ナレーション)
これは戦国で言えば、
**「陣形を整えぬまま三方向から奇襲を受け、采配も届かぬ戦場に突入した」**ようなもの。
信長、令和の“応対戦”に挑む。
第壱章:一騎討ちから、部隊戦へ
コールセンターと聞けば、
「電話番」や「苦情処理係」と思う者もおろう。
だが今の現場は、メール・チャット・SNS・FAQ・LINE・アプリと、
まさに六方面作戦。
ワシ:「これでは、槍兵に鉄砲と弓と刀と火薬と銭箱を同時に持たせるようなものよ」
部下:「はい。新人は即時離脱いたします」
ワシ:「……兵(オペレーター)に過負荷をかけるは、指揮官の怠慢よ」
今や“声を聞く”だけでは、応対とは呼べぬ。
情報の海に沈まず、指揮系統を保つには――
戦国のように「部隊戦」=役割分担と支援体制が必須なのだ。
第弐章:録音はある。だが、誰も聞かぬ
部下:「殿、すべての通話は録音しております」
ワシ:「ふむ。それを誰が聞いておる?」
部下:「……品質管理チームが、月にランダムで20件ほど……」
ワシ:「少なっ!」
応対品質の“見える化”は、戦場で言えば「戦績の分析」に等しい。
・対応の早さ
・声のトーン
・謝罪の質
・案内の正確性
・相手の感情変化
これらを、AIが自動で分析し、地図として見せてくれる時代である。
それをせぬままでは――
ワシ:「刀を研がずに再出陣、敗れて“運が悪かった”と泣き言を言うに等しいわ!」
第参章:後処理という、見えぬ伏兵
ワシ:「なぜ出陣後に、兵は動かぬ?」
部下:「はい。対応記録の入力と、システム転記に時間を要しております」
ワシ:「……戦場で書状を書くな!」
後処理とは、「戦の後に、記録と命令を整える」作業。
だが今、多くの現場では、メモ・CRM・エクセル・チャット・日報を、
兵(オペレーター)が手打ちで書き起こしておる。
まさに、“一斉突撃したのち、全員で筆を取っておる”状態。
それでは、次の敵が来た時、誰も立ち向かえぬ。
RPAや自動記録、チャットボットとの連携――
「戦後処理を支える裏方部隊」こそ、勝敗を分ける。
ワシ:「勝ち戦とは、“次の戦に備えられる戦”のことじゃ」
あとがき:応対は“兵の声”にして、“民の声”なり
ワシの時代も、民の声を聞くことはあった。
だが、“拾う”だけでは何も変わらぬ。
拾い、読み解き、仕組みに活かし、次の戦を変えてこそ意味がある。
応対とは、「聞く技術」ではない。
“声を戦術に変える構え(布陣)”こそ、コールセンターDXの本質。
ワシ:「声の城を守りたくば、まず“戦える構え”を築け。それがなければ――民の叫びは、ただ風に消えるのみよ」