冒頭:Promptばかり磨いて、戦が進まぬ
ワシ:「ふむ。これが“生成AI”とな?」
部下:「はい! 文章も、企画も、メールも、なんでも“AI様”が作ってくれまする!」
ワシ:「では、何をしておる?」
部下:「えっ?」
ワシ:「そなたは、何をしておるのかと聞いておる!」
これは戦国で言えば――
**「名刀を手に入れて、満足して構えの練習ばかりしておる兵」**よ。
第壱章:“AIでなんとかなる”という幻想
いまの世、ChatGPT、Gemini、Claudeとやら、
便利な“軍師”が揃っておる。
じゃが――
使う者が無能であれば、
どれほど賢き軍師を抱えても、戦は勝てぬ。
実務を知らぬ者がPromptをいじくり回し、
“それっぽい”企画資料、“なんとなく”の議事録を量産。
ワシ:「その資料、誰の手柄じゃ?」
部下:「……AI様です」
ワシ:「ならば、そなたの役目は何じゃ?」
部下:「えっ?」
ワシ:「切腹じゃ。」
第弐章:“Prompt大名”の滑稽(こっけい)
ワシ:「これは、AIへの命令文……つまり“Prompt”と申すか」
部下:「はい。“まるで信長のように語ってください”と入れると、そうなります!」
ワシ:「……ワシが、命令されとるのか?」
Promptを練ることが、目的になってはならぬ。
いわば、“馬をどう走らせるか”ばかり考えておって、
どこへ行くかを決めておらぬのと同じじゃ。
ワシ:「命令とは、戦を勝つためにある。
“面白い返事”を引き出す遊びではないわ。」
生成AIは、方向を定めた者にのみ、力を貸す。
方向なき命令は、ただの“独りごと”じゃ。
第参章:AIを使うのではない、“使いこなす”のだ
鉄砲が登場したときも、同じことを申した。
「あれはズルい」「人の腕がいらぬ」「戦の本質を変える」――
だが、使いこなした者が勝った。
長篠の戦い、しかり。火縄銃三千挺が、武田の騎馬を砕いた。
AIもまた同じよ。
使いこなせば、“百の書状”も“一夜で書ける”。
だが使いこなせねば、“百の失言”を“一夜で晒す”。
ワシ:「使うのではない。使われるな。使いこなせ。そなたが“戦の主”であれ。」
あとがき:現場なき生成は、ただの幻影よ。
生成AIを、道具として認めぬわけではない。
むしろ、強力な“軍師”であることは疑いようもない。
だが、AIに“丸投げ”した戦に、勝利はない。
現場を知る者のみが、AIを“刀”として振るえる。
Promptを磨くより、まず己の「問い」を鍛えよ。
現場を歩かぬ者は、AIを使っても、ただ漂うだけじゃ。
ワシ:「生成するな、思考せよ。夢を見るな、問いを立てよ。
――その先に、戦(ビジネス)の勝ち筋が開ける。」